日常の風景の中の富士山

お久しぶりです、ふなっちゃんです。しばらく記事を掲載できずにおりましたことをお詫びいたします。そして今年も掲載を続けていきますので、みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、いよいよ春の足音が日に日に近づいてきていますね。少しずつではありますが、温かな日差しや地面から顔を出す春の芽吹きなどを感じられる季節になってきました。この季節になると、富士山の写真を撮られる方なども心躍らせることも多くなってきますよね。

例えば梅の花と富士山。澄んだ青空の中にもやや温かな春霞を感じられる富士山、そしてなんといっても美しい桜の花と富士山、などなど…。やはり富士山はその美しさゆえに人々は非日常を感じて、写真家ならずともついついカメラに収めたくなるものですよね。春夏秋冬とにかく富士山はどの方角から見ても、それぞれの素敵な姿で私たちを楽しませてくれます。

 

私は富士山の麓に住んで15年以上経ちますが、こうした非日常の富士山を眺めることはもちろんですが、日々の生活の中にも富士山があります。借家を決める時には玄関を開けてすぐ富士山が見える場所。車で走っていても買い物で歩いていても、子どもたちと散歩している時でも富士山が目の前にある場所に住んでいます。もちろん富士山も恥ずかしがり屋さんなので雲に隠れて毎日眺めさせてくれるわけではありませんが、私にとって富士山は日常にも非日常にもなりました。当然のことかもしれませんがこの地に生まれた多くの方々にとって同じ感覚なのだと思います。富士山は特別な山だけれど、ごく当たり前にそこにある山。

 

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1枚目の写真は私の自宅前から最近撮影した富士山の姿です。どんな人でもそうだとは思いますが、自分が一番よく見るところからの富士山の姿が一番好きですよね。私ももちろん、自宅前から眺める富士山のこの姿も好きです。ですが御多分に漏れず富士山の前には電線がかかっています。「ジャマ」ですよね(笑) ですが奇跡的に、富士山の右側にある電線が富士山と同じ角度で垂れ下がっているもので、私はこの場所から富士山を撮影する時には必ずこの電線を入れていますし、この場所からの富士山が私にとって最も日常的な富士山です。

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同じように2枚目の写真にも、電線がいっぱい写り込んでいますね。この写真は国道139号線の船津口登山道交差点の昨年の初冠雪の日の様子です。ここはとにかく富士山に電線がかかっているので、こんなところで富士山を撮影している人はあまりいない場所なのですが、私はここから見る富士山も大好きなんです。交差点をまっすぐに進めば直接富士山ですし、右に行けば青木ヶ原や朝霧高原、富士山本宮浅間大社に向かえますし、左に行けば北口本宮浅間神社や山中湖、御殿場に向かうことができます。ですがやはり…一般的にはこの景色に映る電線などが「ジャマ」ですよね。

 

ですがこれがごく当たり前に私たちが暮らしの中に見る富士山の姿だと思うんです。狭い路地の僅かな隙間から見える富士山であったり、大きな店舗の看板越しに見える富士山であったり、決して絵葉書のようには見えていない富士山の姿。電信柱や電線が富士山の前を通り、企業の広告にはもってこいな感じで富士山を看板が遮り、建物によって富士山の全貌を眺めることのできない景色が、日常の中の富士山の姿であることが多いんですよね。

そんな日常の富士山の姿も、実は少しずつ変化していっているんです。2枚目の交差点の場所は、現在電線の埋設化が進んでおり、今年中にはこのような景色ではなくなるんですね。別の場所でも、つい最近富士山の景観に配慮して看板が取り外されたところがあるんです。どんどん富士山を眺めるのに嬉しい場所が増えていきますね。その一方で、今の日常の風景を写真の中で残しておくのも、のちのち貴重な資料となると思うんです。ごくごく当たり前に普段眺めている、ごちゃごちゃした風景の中に写る富士山のすがた。「こんなに電線がいっぱい張り巡らされた時代もあったなー」なんて、将来酒の肴に呑むのも一興かもしれません。

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