【ふなっちゃん通信2017】Vol.1 富士山のゴミ問題 シーズン2

お久しぶりです、ふなっちゃんです。いよいよ富士山クリーンプロジェクト2017の開催まで1ヶ月を切りましたね。不法に捨てられたごみを拾いたくてウズウズしている方、野口健さんに逢いたくて仕方のない方、それぞれだと思いますが、あと少しの辛抱です!天気予報を楽しみに、今しばらくお待ち下さいね。

 

さて、今年の富士山の登山シーズンも終わり、各関係機関が今年の富士山の状況について色々と取りまとめ始めていますね。報道にも出てくるように登山者数や遭難者数、反省点や今後の課題解決に向けた話し合いなどが、そこかしこで実施されています。かく言うふなっちゃんも、今年は幾度か富士山頂に立ちました。その時に目にしたものや感じたこと、また関係者の方々に伺ったことを踏まえて、今回は書いてみようと思います。

まず、多くの方が関心を寄せている登山者数ですが、環境省による中間発表(開山日から7月末日まで)では、4つすべての登山道の合計で実に4年ぶりに10万人を超えたようです。最終的な登山者数の発表は9月末に予定されているのでまだわかりませんが、総じて昨年より増加傾向にあるようです。

今回の写真1枚目は、私が登った9月最初の土曜日の七合目の様子ですが、ご覧の通り非常に多くの方々が富士山の閉山を前に登られていました。登山道が狭くなり岩場に変わる七合目では、登山者で溢れかえって立ち止まらなければならない状況でした。まぁ、数年前まではこんな景色は日常茶飯事でしたので、私としてはそれほど珍しい景色でもありませんが、やはり客観的に見ても標高2500m以上で登山道に渋滞ができるのは…ねぇ。山小屋の方々や富士山レンジャー、ガイドの方々のお話を伺うと、やはり登山者数は増えているようです。ただし、海外から来られた登山者が非常に多いようです。他の世界遺産地区と変わらず、まさに世界遺産効果と言っても過言ではない盛況とでも言いましょうか。

しかし、他の世界遺産と違うところは富士山が「山」だという事。しかも自然環境に関して言えば他に比類なき山ですからね。世界的に見れば標高3000mオーバーは大したことないですが、富士山を舐めちゃいけません。気軽にちょっと登りに行くかと言って、ペットボトル片手に短パンTシャツのみで登ろうとするビジターが後を絶たないのが現状でした。中にはペットをケージに入れて登ろうとしたツワモノ(九合目で断念)や、山小屋を予約なしに登って泊まれずに強風の中岩陰で一夜を明かした方々もいらっしゃったとか。現在富士山周辺にはアジアからのビジターが多いこともあり、私が登った日も何人もの『寒がって降りていく人』を見かけました。

ところでみなさんご存知ですか?当然のことながら海外からのビジターも多用しているであろうかの「GoogleMap」で富士山の五合目から山頂までを経路検索すると、徒歩でなんと!約2時間と表示されるんですよ!!そりゃ登山道は大体6〜7km(吉田ルートの場合)ですから、平地でその程度じゃ2時間もあれば十分到着できるかもしれませんね。ですが残念ながら富士山をその時間で登ることができるのは富士登山競走に出ている方々だけです。こうしたところも、外国人向けにちゃんとした情報提供する必要がありますよね。

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ちょっと話がそれましたが、とにかく今年は外国人登山者がとにかく多かったのは、私としても印象に残っています。そしてそれ以上に印象的だったのが、写真の2枚目です。

登山道上にとにかくごみが散らかってるんです!汚いのなんのって、とにかくひどかった。山小屋の方々も呆れるほどに、登山道が汚されて見るも無惨なシーズンだったと思います。2枚目の写真の左側と右下のものは八合目付近の登山道、右上のものは七合目の山小屋のトイレに放置されたごみです。栄養ドリンク飲みたくなる気持ちわかります。標高上がれば寒くなるんでカップラーメン食べたくなるのもわかります。トイレに置いておけば散らかることもなく山小屋の人がきっと片付けてくれると思ったんでしょう。ですがあんまりです。大袈裟ではなく言いますが、

 

外国人登山者数 > ポイ捨ての目撃数 > 遭難者(道迷い等含む)数

 

だったかもしれません。

関係者の方々にお話を伺っても、やはり異口同音に今年の登山道はひどいと仰ってました。ただ、驚いたことにある国から来られた登山者がポイ捨てをしているところを注意した方が、その登山者からこう言われたそうです。

 

「なぜごみを捨てるのがダメなんだい?」

「僕たちの国ではごみを拾うことを職業にしている人達がいる。ポイ捨てをしなくなったら

その人達の仕事がなくなってしまうじゃないか」

 

笑い話のような感じですが、実際にこうした考え方をもった方々だって、日本一の美しい山の頂上に立ちたいと思い登山に訪れているわけです(もちろん「郷に入っては郷に従え」という言葉を贈ってあげたいですけどね)。

かつて富士山には、ごみ箱が設置されていました。しかし高度成長期に合わせて国民に広がった健康増進の機運によってトレッキングや登山が流行するようになると、環境保護の観点から「ごみはごみ箱へ」から「ごみは持ち帰りましょう」に変化し、トレッキングルートや登山道からごみ箱は姿を消しました。またつい最近まで、吉田ルート五合目には喫煙所がありましたが、数多くの中国人観光客の喫煙所の利用マナーの悪さから、現在は撤去されました。

 

富士山を取り巻くごみの問題は、富士山クリーンプロジェクトが始まった頃に比べれば格段の進歩を遂げています。特に山麓の不法投棄については、絶対的な不法投棄の総量が減っていることはまず間違いないと思います。ですが世界遺産登録を機にごみの問題も変化してきていることもまた、事実だと思うのです。

富士山の素敵な自然環境が生み出した富士山の文化的な価値が、世界で守り残すべき文化的遺産として認められたわけですから、こうした変化に対応できずにこの価値を文字通り汚してしまうようなごみの管理は管理されているとはいえません。こうした変化の中、富士山のごみ問題を次のステージに進展させていく時期が来たのだと思うのです。

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