【ふなっちゃん通信】 Vol.4 富士山クリーンプロジェクト2013 活動成果中間報告

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(大きなタイヤの撤去はガンガンと 2013年10月27日撮影)

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(小さなごみはていねいに探しながら 2013年10月27日撮影)

 

10月27日に開催されました富士山クリーンプロジェクトの活動から2ヶ月が経ちますね。すでに富士山は雪に覆われ、まさに冬本番。トレッキングでみなさんと歩いた西臼塚周辺も、タイヤを中心とした撤去活動現場もすでに雪の中。春の訪れを待って生き物たちもひっそりと、でもしっかりと暮らしています。

さて、お待たせいたしました!当日の活動にご尽力いただきましたNPO法人富士山クラブさんから、活動成果の処理について中間報告がありましたので、みなさまにもご報告させていただきます。気になるのは…やっぱりタイヤの本数でしょうか?

回収・処分ごみ重量 12,410 kg
タイヤ処理本数 1,375  本
処理未完了タイヤ 約500 本 【 2013年12月20日現在 】

…もはや驚きというよりも、呆れてしまう数字が報告されました。

未処理のものを含めると2,000本近いタイヤが、富士山の麓にまだ眠っていたわけですが、2時間のみなさんとの活動によって撤去されたわけですね。

そしてタイヤ以外に集めていただいた自動車部品であったり、ポイ捨てごみであったり、小さな小さな割れたガラス片であったりを丁寧に回収して下さったおかげで、富士山から12トン以上のごみを一掃することができました。

ところで、活動当日にタイヤの回収ができずに小さなガラス片などのごみの回収で、ちょっと物足りない活動だったと感じた方、いらっしゃいませんか? また、今回の富士山クリーンプロジェクトの活動が「不法投棄タイヤの撤去活動」と勘違いされている方、いらっしゃいませんか?

ごみ拾いは「大きさ」「重さ」ではありません

「富士山の清掃活動」と言えば、いつの頃からか「富士山に大量に捨てられている山のようなごみの回収」とか「家電製品やタイヤの山を泥だらけになって」とか、「車を青木ヶ原樹海から引っ張り出す」なんていうイメージがありますよね。事実、富士山での過去の活動でもそうした例もありましたし、富士山クリーンプロジェクトに関わって下さっている野口健さんも、なんとなくですが泥だらけになって不法投棄に立ち向かっている姿をよく映像で拝見することもありますから、すっかりそのイメージは定着してしまいました。

確かに大きな家電製品やタイヤなどの不法投棄をやっつけると、その達成感も非常に大きいですし、いかにも「富士山をきれいにした」という感覚を得ることができます。その一方で、小さなゴミをコツコツと2時間拾い続けて、回収されたごみの量が45リットルの袋に数袋で回収用トラックの荷台に半分程度積み上げられても、「今日の現場はちょっとしかごみがなかったね」「もっとすごい場所を拾いたかった」なんていう声を聞くこともしばしばあります。活動成果は基本的に重量やリットルで表記されるので「○○○kgの大量のごみを回収」「○○○リットルのごみ袋がいっぱいに」となりますが、この数字が少ないとやっぱり物足りなさを感じるのも無理はありません。

ですが、ごみ拾いで大切なことはこうした大きさや重さではありません。「拾った数」と「何を拾ったか」も大切なことなんです。

例えば10,000本のたばこの吸い殻を1,000人で一所懸命に回収することができても、たった1人が大型テレビ1台拾ってしまえば大きさも重さもかないませんよね。

たった1つの乾電池がいつまでも拾われずにグズグズになってしまうと水銀が流出してしまう危険性だってあります。森の中に捨てられたビニール片は野鳥の巣作りに最適な素材ですが、劣化したビニール片はその巣で生まれたヒナの首や足に絡みつき、時に野鳥を殺してしまいます。落ち葉でふかふかの森の中を歩く動物たちにとって、小さなガラス片はその足元を脅かします。人間の食べているものは基本的にハイカロリーなものが多いですから、弁当の食べ残しなどのポイ捨ては野生生物の食行動に変化を与えてしまいます。こうしたごみは、ごみ拾い参加者にとっては小さな、あまり張り合いのないごみかもしれませんが、自然環境に影響を及ぼす点からいうと大型のごみに比べてもはるかに影響を及ぼす可能性が高いです。

逆に、大きなごみは景観を損ねることはもちろんですが、ごみが捨てられていることが如実にわかるために別のごみを捨てられやすい環境をつくってしまいますから、もちろん撤去しなくてはなりません。大きなごみも小さなごみも、拾うこと、捨てられないようにすることが重要なのは当たりまえです。ただどうしても、大きなごみに比べると小さなごみは見逃されやすく、また拾いがいがないように思われてしまいます。

今回の活動ではつまり…

大量のタイヤ撤去 → 富士山麓の景観を守り、捨てられづらい環境をつくる

小さなごみの撤去 → 富士山麓に暮らす多くの生き物たちの生息環境を守る

それぞれに非常に意味のある、丁寧な活動を同時に行うことができたわけですね。参加者全員の力がなければ、成しえなかった成果です。特に小さなごみの撤去は、視線の低い子どもたちによって多く発見してくれたおかげですよね。

あらためて、ご協力ありがとうございました!

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