【ふなっちゃん通信】 Vol.1 富士山史に刻まれた年 - 世界文化遺産登録 –

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(吉田口登山道七合目 2013年8月24日撮影)

富士山史に刻まれた年

2013年は、富士山は世界文化遺産としてそのリストに登録されました。「後世までこの素晴らしい人類共通の遺産を守り伝えていく責任を果たす」ことを世界に約束した、富士山の歴史に刻まれるべき記念の年となったわけです。

富士山史でも有名どころを少しだけピックアップすると・・・

ずっと昔(数十万年前)  富士山の原型となる先小御岳(せんこみたけ)火山ができる
旧石器時代  古富士(こふじ)火山ができる
縄文時代  新富士(しんふじ)火山となり、ほぼ今の形の富士山になる
BC200年頃  最後の山頂噴火
864年  貞観の大噴火(のちに青木ヶ原樹海になる溶岩が流出する)
1707年  宝永の大噴火(江戸でも大騒ぎ)
1803年  伊能忠敬が富士山を測量。3928m?
1909年  富士山頂の郵便局が開設
1936年  富士箱根伊豆国立公園に指定される
1966年  プロスキーヤーの三浦雄一郎さんが富士山を直滑降
2006年  第1回富士山クリーンプロジェクト開催!!
2013年  富士山が世界文化遺産として登録される

といった具合になります。

富士山は、四季を通じて様々に楽しむことができるので、国内外を問わず多くのビジターが訪れますが、毎年様々な話題に事欠かないのも、日本一の山ならではないでしょうか。特に話題になるのは登山者数です。

登山シーズンは基本的に7、8月の2ヶ月間ですが、今年は富士山世界文化遺産登録の影響もあって五合目までのマイカー規制も期間が延長されました。入山料も試験的に導入され、多くの登山者が入山料徴収に賛同する傾向も見られました。また、翌朝の御来光を目指して夜から登山を開始するいわゆる「弾丸登山」の自粛が呼びかけられるなど、富士山の保全に対する多くの試みも実施された結果、登山者数は以下のようになりました。

  登山者数:310,721人(八合目以上)

  •    吉田口     179,720人
  •    富士宮口     76,784人
  •    須走口       36,508人
  •    御殿場口     17,709人

9月2日の登山道閉鎖以降の登山者数がまだカウントされていないので、今年の全登山者数としてはまだ不明ですが、期間中の登山者数は前年比で2.5%減少し、特に顕著なのは全登山者数の半数以上を占める山梨県側吉田口登山道では1万人以上も減少しました。一方で、マイカー規制のない静岡県側御殿場口登山道では、14.5%増加しています。五合目で滞留する観光客数も現時点で発表されていませんが、世界文化遺産登録による過度のオーバーユースはとりあえずのところ抑制できていると言えるかもしれません。

その一方で、残念ながら富士山麓でのポイ捨ては、これまで同様に散見されたことも事実です。下の写真は、吉田口登山道のマイカー規制中のシャトルバス発着場である富士北麓駐車場のすぐそばで撮影したものですが、キャンプを楽しんだ後のものなのか、団体ビジターによるものなのかは不明ですが、大量の空き缶が発泡スチロールの箱に詰め込まれ、大量のコンビニ弁当の空き箱がかごの中にまとめられて捨てられていたものです。

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(山梨県富士吉田市 2013年8月15日撮影)

ゴミ問題解決のためには、ゴミの発生抑制と清掃活動による対処の両方が不可欠です。すでに捨てられてしまっている多くのゴミは、清掃活動をする以外にはありません。これまでも清掃活動は「富士山クリーンプロジェクト」をはじめ多くの市民の手で、ボランティア活動として実施されてきました。こういった活動を今後も継続させることこそ、ゴミ問題の解決の一助になるとともに、世界文化遺産としての富士山を保全するシステムのひとつとして成長させることができる活動になるかもしれません。

文責 : 舟津 宏昭

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